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廃用症候群を防ぐためのポジショニング

廃用症候群を防ぐためのポジショニング



― 「褥瘡予防」だけじゃない、看護師としての視点を広げよう

日々の看護業務の中で、ポジショニングは「褥瘡予防のためのケア」として実践されることが多いかもしれません。しかし、ポジショニングの本来の目的はそれだけではありません。


廃用症候群(Disuse Syndrome)の予防という、より広い視点でのケアが求められています。




廃用症候群とは?

廃用症候群とは、身体や精神の活動が低下することで起こる、全身的な機能低下の状態です。

以下のような症状が代表的です:


・筋力低下

・筋萎縮

・関節拘縮

・骨粗鬆症

・起立性低血圧

・誤嚥性肺炎

・認知機能の低下やうつ状態


つまり、「動かない・使わない」ことが原因で、「動けなくなる・使えなくなる」状態。


英語では “Disuse Syndrome” と呼ばれ、「使わない症候群」と訳すと、その本質がより直感的に理解できます。


廃用症候群




ポジショニングの本当の役割とは?

ポジショニングは、患者さんにとって安楽で、かつ身体機能を維持しやすい姿勢を提供することです。これは単なる体位変換ではなく、廃用を防ぎ、生活機能を支えるための重要な看護ケアでもあります。


ポジショニングによって期待できる効果:

・関節拘縮の予防と可動域の維持

・筋緊張の緩和とリラクゼーション

・呼吸機能の改善(肺の換気促進)

・血流

・リンパの循環促進

・誤嚥性肺炎の予防

・精神的安定と安心感の提供


これらは、褥瘡予防の枠を超えて、患者さんの「生活の質(QOL)」を守るための包括的なケアといえるでしょう。




姿勢管理=環境整備の一環としての看護

長期臥床の患者さんにとって、姿勢は「生活環境」そのものです。呼吸、消化、睡眠、精神状態など、あらゆる機能に影響を与えます。


看護師として、「姿勢を整えること=環境を整えること」という視点を持つことで、より質の高いケアが実現できます。




実践のポイント:現場で活かすポジショニング


1. 体位変換のタイミングと観察

基本は2時間ごとですが、皮膚の状態・呼吸・表情・筋緊張などを観察しながら柔軟に対応しましょう。


2. ポジショニング用具の活用

クッションやピローを使って、関節の自然な位置を保ち、圧迫やねじれを防ぐことが大切です。


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3. 呼吸を意識した姿勢づくり

ギャッチアップ位や側臥位など、肺の換気を促す姿勢を取り入れることで、肺炎予防にもつながります。


4. 患者さんの反応を大切に

表情や声かけへの反応を見ながら、「安楽な姿勢」を一緒に探る姿勢が大切です。


5. チームでの連携と情報共有

看護師だけでなく、リハビリスタッフや介護士とも連携し、ポジショニングの目的や効果を共有することで、より一貫したケアが可能になります。




まとめ:ポジショニングは「予防的ケア」から「機能支援」へ

ポジショニングは、単なる褥瘡予防の手段ではなく、廃用を防ぎ、患者さんの生活機能を支えるための重要な看護ケアです。


「今の安楽」だけでなく、「これからの生活」を見据えた視点で、ポジショニングを“姿勢管理”として捉え直してみませんか?




動画で学ぶ:

LACスクールの人気講師でドイツ人看護師のサビーネ・ベッカー先生のポジショニング講義を収録したDVD教材を現在無料でプレゼントしています。ストリーミングですぐにご視聴することも、DVD版を取り寄せて職場の皆様で学ぶこともできます。是非この機会にポジショニングのスキルアップとしてご活用ください。


看護スタッフの立ち姿勢、からだの使い方、動かし方なども解説されています。





揺動運動とポジショニン今日も一日お疲れ様です☆彡

最後まで読んでくださり誠にありがとうございました。医療と介護の現場で奮闘されている皆様に心より感謝しております。皆様にとって少しでもお役に立つ情報がお届けできるように頑張りますので、応援よろしくお願いします♪

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