【現場で役立つ】介護職のためのポジショニング
- 中村 研司
- 1 日前
- 読了時間: 6分
更新日:1 時間前

「安楽」と「安心」を支え、負担を軽減するケア
利用者さんの不安を取り除いてあげたい、痛みを少なくしてあげたい。そんな願いをかなえる方法の1つがポジショニングです。 私たちのからだは常に重力の影響を受けています。私たちは筋肉や関節にかかる負担が少なくなり、疲労や消費エネルギーが少なくなるように無意識のうちに最適な姿勢をとっています。
しかし、介護が必要になった方々は自分ではうまくからだを動かすことが難しくなり、必要以上の負荷や負担を受け続けていることがあります。
それを取り除くために姿勢や体位について考え、支援を行うことがポジショニングです。
ポジショニングって、現場ではどんなときに必要?
介護の現場では、こんな場面でポジショニングが活躍します:
- ベッド上で長時間過ごす方の床ずれ予防
- 食事や排泄などの活動の前に姿勢を整える
- 呼吸が苦しそうなときに呼吸しやすい体位をとる
- 関節が硬くならないように体の緊張をゆるめる
リラクゼーションがとっても重要!
痛みがある、不快な圧迫がある、からだがねじれている。そのような状態が発生すると私たち人間は自分のからだを守るための反応をします。通常だと寝返りをうったり、座位だと座り直しをしたりします。それらの行為は筋肉の活動を伴って行われます。しかし、自分の力で姿勢を変えることが難しくなってしまった方は不快な状態から逃れるために絶えずからだに力が入った状態になってしまいます。
触ってみて
普段からリラクゼーションが得られていない利用者さんのからだは硬いです。筋肉が硬くなり、関節の可動域も狭くなってしまいます。ベッド上で横になっているときにからだから力が抜けていないと思われる利用者さんに適切なポジショニングを行うことで状態を改善できる可能性があります。
広い面積で支えてみよう
広い面積で支えると圧が分散されて床ずれのリスクを軽減できます。でもそれだけではありません。広い面積で支えると、同時にからだの安定性もUPします。
からだは安定すると必然的に筋力を緩めてリラックスすることができます。お風呂に入ったときや全身をくるまれたときに感じる安定感を想像していただくとわかりやすいと思います。

からだはとっても立体的
すでに関節拘縮や円背がある方は体圧分散寝具やエアマットなどを利用しても十分に広い面積でからだをさせることが難しいことがよくあります。そんな時に必要になるのがポジショニングクッションです。立体的なからだに対して、きちんと隙間を埋めて広い面積で利用者さんのからだを支えるために欠かせない用具です。
ポジショニング専用クッション
- しっかり圧分散できる
- 姿勢を保持する性能が高い
- 丸洗いでき感染症対策など衛生管理が可能
普通の枕やふとんを丸めてできないこともないのですが、再現性や衛生管理を考えると専用クッションのご利用をお勧めします。
◆ 介護職のこんな声かけが安心感につながる
ポジショニングは、利用者さんとの信頼関係を築くチャンスでもあります。
- 「〇〇さん、少し体の向きを変えますね。痛いところがあったら教えてくださいね」
- 「このクッション、ちょっと柔らかくしてみました。どうですか?」
- 「足の下にクッションを入れると、少し楽になるかもしれませんよ」
こうした声かけがあるだけで、利用者さんは「ちゃんと見てくれてる」と感じてくれます。
◆ 介護職だけでなくチームで共有したいポジショニングのポイント
- 「この方は右向きが苦手」「このクッションが合っている」など、小さな気づきをチームで共有
- 看護師やリハビリ職と連携して、より快適な姿勢を一緒に考える
- ポジショニングの写真や図を使って、申し送りや記録に残すのも効果的
さらに現場で役立つポジショニング実践例
ポジショニングは、利用者さんの状態に応じて柔軟に対応することが求められます。以下に、さらに具体的な実践例を紹介します。
夜間の体位変換
夜間は特に体位変換が重要です。例えば、夜勤中に「背中が痛い」と訴えがあった場合、以下のような対応が考えられます:
- 利用者さんの状態を確認し、痛みの原因を探る
- 仰臥位から側臥位に変更し、背中にクッション添える
- 膝の下にクッションを入れて腰の負担を軽減する
- 声かけをしながら、安心感を提供する
食事前の姿勢調整
食事前には、座位や半座位に調整することが重要です。以下のポイントを押さえてください:
- 座位の場合、車いすの座面が深すぎないように調整し、お尻をしっかり奥まで入れる
- 足が床につく高さに調整し、股関節・膝・足首が90度になるようにする
- 頭を支えるクッションを活用し、呼吸が楽になるようにする
呼吸が苦しいときの対応
呼吸が苦しいと訴えがあった場合、以下のような対応が考えられます:
- 上体を起こし、半座位や座位に調整する
- 頭を支えるクッションを使い、呼吸が楽になるようにする
- 声かけをしながら、安心感を提供する
- 必要に応じて、看護師やリハビリ職と連携し、適切な対応を考える
関節拘縮の予防
関節拘縮を予防するためには、以下のポイントを押さえてください:
- 定期的な体位変換を行い、関節の動きを保つ
- クッションやタオルを使って、広い面で支えることで圧を分散する
- 利用者さんの状態に応じて、柔軟に対応する
- 声かけをしながら、安心感を提供する
プレゼントのお知らせ:
LACスクールの人気講師でドイツ人看護師のサビーネ・ベッカー先生のポジショニング講義を収録したDVD教材を現在無料でプレゼントしています。ストリーミングですぐにご視聴することも、DVD版を取り寄せて職場の皆様で学ぶこともできます。是非この機会にポジショニングのスキルアップとしてご活用ください。
まとめ:ポジショニングは“思いやりの形”
ポジショニングは、ただの「体位変換」ではありません。それは、利用者さんの「今日も気持ちよく痛みや苦痛が少なく過ごせた」という安心感につながる、思いやりのケアです。「この人にとって一番楽な姿勢ってなんだろう?」そんな視点を持つことが、介護の質をグっと高めてくれるはずです。
力が抜けきらずにリラックスできていなかった表情が少しでも緩んだとき、介護の仕事をやっててよかった♪そう思える瞬間がやってきます☆彡
今日も一日お疲れ様です☆彡
最後まで読んでくださり誠にありがとうございました。医療と介護の現場で奮闘されている皆様に心より感謝しております。皆様にとって少しでもお役に立つ情報がお届けできるように頑張りますので、応援よろしくお願いします♪
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